再生事例4 資産運用マンション売却で負債圧縮、本業に専念し回復

企業データ

D社
資本金:1000万円
年商:4億円
社員数:20名
業種:食品加工業

状況:個人所有の投資マンションから収益が上がっておらず、会社から資金流出していた。

原因:
業績が良かった二十年前に、銀行融資を受けて個人名義で投資マンションを購入したが、年間の修繕費・税金や、店舗フロアーが空室となっていて 会社から資金を補てんしていた。
また本業の食品加工でも競合他社に営業力などで負けており売上も減少傾向にあった。

当社は社歴が長く、現在の社長は3代目にあたり、しかも高齢であるため事業承継を行う必要があった。
しかし事業を承継するどころか、売上減少や個人借入の返済に追われ本業の立て直しが急務の状況であった。

売上高は全盛期の5億円から近年では3億円程度に落ち込んでおり、大手流通企業への売上割合も大きかったため、そこからの受注が一年間で約三千万円減少という不安定な売り上げ構成であった。

弊社へは、売上減少を止める方策を相談に来られたが、個人借入を含めた負債の圧縮を行い、そのあとに本業の改善を行うようにアドバイスした。

◆相談時に示した再生方法

  • 個人所有投資マンションの売却
  • 会社の銀行返済のリスケジュール
  • 経理システムの再構築
  • 会議による社員の月次計数理解
  • 売上増加、社内体制再構築

◆ご相談から再生まで

  • ご相談
  • 資金繰り、損益状況把握
  • 簡易改善計画作成、会社借入のリスケ実行 【ここまで1ヶ月】
  • 個人所有投資マンションの売却
  • 経理システムの再構築
  • 役員会議での月次計数把握        【ここまで6ヶ月】
  • 単年黒字化の達成            【ここまで18ヶ月】
  • 月末資金残高が月商1か月分       【ここまで24ヶ月】
  • 次期社長(息子)による実質的な経営   【ここまで36ヶ月】

 

1.個人所有投資マンションへの資金流出

弊社へ相談に来られた時、売上が全盛期の十年前より30%以上も落ち込んでおり会社の銀行借入が返済できない状況になっていた。

相談1か月前にも公庫より1000万円借入れたにもかかわらず当月の返済ができず、売上を上げることによって何とかしのぎたいという相談であった。

この時点では明確な資金繰り表は無く、今月末の入金予定と支払予定が書かれてあるメモを持参されていたのでその場でまとめて概要を把握した。

しかし使途不明の数十万円があり内容を確認したところ、個人借入返済のため「仮払い」として支払っており戻ってくる当てのない出金であることが判明した。

社長は「個人で必要な資金を会社から出しているだけ」との認識しかなく、オーナー中小企業の典型的などんぶり勘定になっていた。

その個人返済の理由を聞いたところ、二十年近く前に、銀行融資を受けて投資マンションを購入したが、家賃の低下、修繕費、納税などで儲からない上に、銀行返済が大きくのしかかり個人では支払えないので流用している。

しかも会社で銀行借入れをする際に、担保として提供しており簡単に売却できないと思っているとのことであった。

当然、役員会議でも個人投資マンションの売却案は出るのだが、「売却したところで資金が手元に残るわけではない」「世間体として落ちぶれた感がするので嫌だ」「毎月の家賃収入があるから会社の支払いができている」など
個人の感情や、経済合理性を無視した意見で何の対策を取らず資金流出が何年も続いていた。

 

2.会社の銀行返済リスケジュール

役員会議で会社を存続させることが目的なのか、世間体を守ることが目的なのかを何度も時間をかけて話合い、個人運用マンションは売却することが決定。

そこから個人借入の返済と会社の銀行借入の担保となっている部分を外してもらう交渉が始まりました。

時価で売却した場合、投資マンションのローンは返済できるが、会社の担保となっている部分の返済がわずかに不足し銀行は売却に対し難色を示していた。

そんな中、会社の銀行返済もできない状況になり、期日を過ぎても返済できない「延滞」が発生し借入銀行7行に対しリスケジュールのお願いをして回る事態となった。
遅れることは事前に担当者に伝えてあったので、計画提出とバンクミーティング開催をいつできるのかの調整をすることになった。

個人投資マンション売却が、いくらで売れてどれくらい一括返済できるのか、資金流出が減るのか、また今後の会社改善でどれくらいの利益が出るのかといった計画を作るために、不動産仲介会社との打合せや、メインバンクの意向確認、社内改善策の検討に2か月程度時間がかかった。

しかし現社長と次期社長候補の息子さんが会社を立て直す意志を明確にし、関係者すべてに同意を得ることができたので計画策定は進んでいった。

当然以前の状態のままで会社は再生できないので、退職者を含めて給与の削減、新たな業務の追加、営業活動の増加など社長、役員、社員にとって仕事が厳しくなることとなった。

今まで既得権でゆっくり仕事をしていた社員にとっては魅力のない会社となり自主的に退社する社員も出てきた。
そこで新入社員を雇うのではなく効率化によって業務をこなしていくようにした。

 

3.個人投資マンション売却と会社改善スタート

バンクミーティングにて計画書が承認され再生に向かって改善し始めたころ、個人投資マンションが売却できた。
予想外に高値で売却できローン残債と会社借入の担保部分を含めた全額が返済でき個人負債の圧縮と、会社負債の一部圧縮ができた。

会社の毎月返済は元金ゼロで半年間リスケジュールというもので、その間に少しでも成果を出さなくてはならないが、新規売上を獲得するのには時間がかかるため、既存売上を上げるべく、お得意先回りを重点的に行った。

その中で気づいたことは、資金繰りに追われてまともな営業ができていなかったこと、昔からの得意先にも足が遠のいておりそれが理由で受注が減っていたことだった。

また会計事務所に出してもらっていた月次試算表も銀行提出するために原価率を変えているものであったため、社内で会計ソフトに入力しタイムリーに月次試算表が出る体制に変えてもらった。

話は前後するが、当社も粉飾決算で銀行借入を行っており、バンクミーティングで全てを開示し、債務超過を10年で解消する計画を提出している。

粉飾額が数千万円になるため債務超過も数千万円となるのだが、その積もり積もった赤字額の累積を見た社長は、これだけ放漫経営をしてきたのか、会社を続けてこれたのは銀行借入があったからなのか…と大きなショックを受けていました。

粉飾決算は銀行借入を容易にし、資金繰りを深く考えなくていいので便利です。
しかし麻薬と一緒で一度手を染めたら中毒になってしまい、大きな利益を出さない限りもとに戻れない会社となります。

現在粉飾している会社も、債権者へ開示の仕方はいろいろありますが、自分を騙し続けてはいけません。
「いくらいくら赤字が累積している、だからいくらいくら資金繰りが不足している」、としっかり認識し今後どのように行動するか明確にするべきだと思います。

 

4.経理システムの構築と会議での計数把握

当社では優秀な経理部員がいたために経理システムの構築がスムーズに進みました。
今まで数字を把握できなかったのは、古くからいる社員が会計事務所と経理作業のブラックボックスを作り、通帳管理や請求書管理を一人で行ってきたために情報が開示されないためでした。

バンクミーティングでも改善アクションとしてタイムリーな社内資料の開示を求められていたので経理業務の見える化、簡素化、自計化を中心に進めていきました。

また計画書と月次実績の差を把握するために、新たな資料を作成。毎月の会議で差が出た原因を分析し、改善アクションを検討し、すぐ実行するというPDCAサイクルを回しました。

PDCAはみんな知っているのに、月次資料を使って振り返る方法を知らないために行動できなかっただけでした。

こうして12ヶ月間振り返りを続けるうちに原価率、原価額、在庫額、納品までの時間など社員がわかりやすく改善しやすいところから変化が現れ始めました。

 

5.単年黒字化と月末資金残高の増加

できることから改善を進めるうちに社員も利益額に対し敏感になってきました。
ボーナスが出るのか、昇給があるのかといったことに直結するからです。

既得権でゆっくり仕事をしていた社員も改善しなければ会社についてゆくことができず、だんだんと一体感が生まれてきたころ、「単年黒字化」が達成できました。

また次期社長候補の息子が先頭に立ち、改善アイデアや商品開発も社員を巻き込んでおり、経営者としての自覚も芽生えてきたと思います。
営業活動も得意先の意見を、足しげく聞きに行く過去何十年と行ってきたスタイルを取り戻すことで少しずつ回復させています。

できる範囲の売上げの増加、原価率の向上、在庫の適正化だけで資金繰りはかなり改善されました。
業者に頼んで支払期日を遅らせてもらうことで、24か月後には月商の1か月分の現預金残高があるようになったのです。

 

6.現社長と次期社長の事業承継

現社長は60代後半、次期社長候補の息子は30代後半なので、そろそろ事業承継をする時期に来ています。

まだまだ再生途上で債務超過は解消していない会社なので息子が本当に会社を引き継ぐのかの解答は出ていません。
会社という法人を存続するのか、事業を存続するのか、銀行といった債権者の意向や、大手取引先との関係も深くかかわってくるため
数億円に及ぶ銀行借入をすぐさま引き継いで息子が事業をする結論が出ていないのです。

現在は今の会社の失敗例を実地で学び、改善ノウハウを体にしみこませている段階なので、利益を出し続けることで、ある程度の負債返済・圧縮ができたとき事業承継ができるのだと思います。

 

このクライアント様も初回面談時は不安でいっぱいでした。しかし事業再生方針が確定してからはそれに向かって行動あるのみでした。当社では様々なライフステージにある企業の課題解決に向けフルオーダーで会社再建を支援しています。

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投稿日:2017年3月15日 更新日:

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